データ分析に欠かせない統計学の基本「中央値」の正しい理解と使い方

statistics

データ分析において、適切な統計量を選択することは重要です。そのひとつが「中央値」です。今回は中央値についてわかりやすく解説したブログをご紹介します。外れ値の影響を受けにくい中央値の特徴や、平均値との違い、実際のビジネスシーンでの活用方法など、中央値の役割と重要性がよくわかるでしょう。データ分析の幅が広がる内容となっていますので、ぜひご一読ください。

目次

1. 中央値とは何か – 定義と特徴

中央値は、ある一群の数値データ(観測値)を大きい順に並べたときの中央の値のことです。これは、母集団(調査対象になるものの全体)の分布の中央に位置する値を表しています。

中央値はデータの分布に関係なく、順序に依存した算出方法を取るため、外れ値の影響を受けにくく、比較的安定した値となります。具体的には、以下の特徴があります。

  • データを小さい順に並び替えて、真ん中の値を見つけることで求められます。偶数の場合は真ん中に数値が2つ現れるため、その2つの平均値が中央値となります。
  • 中央値は別名「50%点」とも呼ばれ、データの傾向を特定の値で表現するための代表値として使われます。
  • 中央値を使用することで、外れ値や極端な値が含まれている場合でも、データ全体の傾向を正確に把握することができます。

中央値はデータの中心傾向を表す代表値の一つですが、データ全体の特徴を完全に把握するためには他の統計量やグラフなども併用する必要があります。中央値の求め方や計算例を通じて、中央値の定義と特徴について理解しましょう。

2. 中央値の計算方法

中央値を求めるためには、以下の手順を守る必要があります。

  1. データを昇順に並び替えます。
  2. データの個数が奇数か偶数かを確認します。
    • 奇数の場合:データの中央に位置する値が中央値となります。
    • 偶数の場合:データの中央に位置する2つの値の平均が中央値となります。

例えば、以下のデータセットを使用して中央値を求めます。

例1:
10, 20, 30, 40, 50

  1. データを昇順に並び替えます。
    10, 20, 30, 40, 50
  2. データセットの個数が奇数なので、中央に位置する値が中央値となります。したがって、中央値は「30」となります。

例2:
10, 20, 30, 40, 50, 60

  1. データを昇順に並び替えます。
    10, 20, 30, 40, 50, 60
  2. データセットの個数が偶数なので、中央に位置する2つの値の平均が中央値となります。したがって、中央値は「(30 + 40) / 2 = 35」となります。

中央値の計算方法は、データを並び替えてシンプルな計算を行うことで求めることができます。データの個数により計算方法が異なることに注意しましょう。また、中央値はデータの中心的な値を表しており、データの分布を把握する際に有用な指標となります。

3. 中央値の使い道

中央値は、データ解析や統計学において重要な役割を果たします。以下では、中央値の使い道について詳しく説明します。

3.1 データの外れ値の影響を排除する

中央値は、データセット内の外れ値に対して頑健な特徴があります。外れ値とは、他のデータと比べて極端に異なる値のことです。外れ値の存在するデータでは、平均値はその値に引っ張られてしまい、データ全体の特性を歪める可能性があります。しかし、中央値はデータを順位付けして求めるため、外れ値の影響を受けずに真ん中の値を表すことができます。

3.2 集団の中心傾向を把握する

中央値は、データセットの中心的な傾向を示すために使用されます。平均値と同様に、データの中心位置を表現する役割を果たします。しかし、中央値はデータを順位付けして求めるため、データセットの分布や外れ値の影響を考慮しながら中央の値を取得することができます。

3.3 対称な分布の特徴を分析する

中央値は、データセットの分布の対称性を分析するために使われます。対称な分布では、平均値と中央値が非常に近い値になる傾向があります。一方、非対称な分布では、平均値と中央値の値が異なる場合がよくあります。このような場合、中央値を用いることでデータセットの分布の特徴を正確に把握することができます。

3.4 外れ値の除去によるデータの偏り解消

中央値は、外れ値の影響を受けにくいため、データの偏りを解消するために使用することもあります。外れ値の存在するデータにおいて、平均値を代表値として用いると、データ全体の特性が歪んでしまう可能性があります。このような場合、中央値を用いてデータの偏りを排除することができます。

上記が、中央値の使い道についての説明です。中央値はデータセットの特徴や分布を正確に把握するために重要な役割を果たします。データ解析や統計学の応用において、中央値を適切に活用することで、より正確な結果を得ることができます。

4. 平均値との違い

平均値と中央値は、データの中心的傾向を示す代表値ですが、計算方法に違いがあります。以下に平均値と中央値の違いをまとめます。

  1. 計算方法の違い:平均値はデータの全ての値を足して個数で割ることで算出されます。一方、中央値はデータを順序に並べた際に中央に位置する値となります。

  2. 外れ値への影響の違い:平均値はデータの全ての値を考慮するため、極端な値に弱く、外れ値が存在する場合に平均値が大きく影響を受けます。一方、中央値は外れ値にあまり影響されず、データの中央部分を把握するための相対的に安定した値となります。

  3. データの分布による違い:データの分布が歪んでいる場合、平均値と中央値は異なる値を取ることがあります。平均値は分布の傾きに引っ張られ、中央値はデータの中央部分に位置するためです。

データの分布次第で、平均値と中央値は異なる値を取ることがあります。そのため、データの特性や分析の目的に応じて、適切な代表値を選択することが重要です。

平均値は全てのデータを加算して算出するため、外れ値に引っ張られやすい傾向があります。一方、中央値はデータの中央部分を把握するため、外れ値にあまり影響されず相対的に安定した値を示します。

5. 中央値を活用するビジネスシーン

中央値は、ビジネスのさまざまな場面で有用な役割を果たします。以下では、中央値を活用する具体的なビジネスシーンについて紹介します。

売上の分析における中央値の活用

商品販売個数のデータを都道府県別に集計する場合を考えてみましょう。平均値を求めると一日あたり100個となりますが、実際には首都圏での購入が集中しており、平均値が引き上げられています。このようなケースでは、中央値を求めると30個となり、実際の売上状況をより正確に把握することができます。

社員の勤続年数の実態を知るために中央値を利用

例えば、社員の平均勤続年数を算出すると18年となりますが、実際の中央値を見ると9年となる場合があります。これは一部の長く勤続している社員が平均を引き上げていることを示しています。もし平均勤続年数が実際よりも短い場合は、より長期間働く仕組みを作る必要性があるかもしれません。

以上のように、中央値は売上や勤続年数などさまざまなデータの把握に役立ちます。データの中に外れ値が存在する場合や実態をより正確に把握したい場合には、中央値を積極的に利用することが有益です。ただし、中央値はデータ全体の特徴を完全に把握することができない可能性があるため、他の代表値と併せて使用することが重要です。

まとめ

中央値は、データ解析や統計学において重要な役割を果たします。中央値は、外れ値の影響を受けにくく、データの中心傾向を把握するのに適しています。また、中央値は対称な分布の特徴を分析したり、外れ値を除去してデータの偏りを解消するのにも使用できます。ビジネスの現場でも、売上分析や社員の勤続年数の把握など、中央値の活用が有効です。ただし、中央値はデータ全体の特徴を完全に表現できないため、他の代表値と組み合わせて使用することが重要です。データ分析において、中央値を適切に活用することで、より正確な結果を得ることができます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

 大学卒業後、デジタルマーケティング企業に入社し、BtoBマーケティングのコンサルに従事。200社以上のコンサルティング経験に加え、ウェビナー・ワークショップ・Academyサイトの立ち上げに携わり、年間40件のイベント登壇と70件の学習コンテンツ制作を担当。
 その後、起業を志す中で、施策先行型のサービス展開ではなく企業の本質的な体質改善を促せる事業を展開できるよう、AI/DX分野において実績のあるAIソリューション企業へ転職。
 現在はAIソリューション企業に所属しながら、個人としてもAI×マーケティング分野で”未経験でもわかりやすく”をコンセプトに情報発信活動やカジュアル相談を実施中。

目次