数字に強くなる!統計学の平均値と中央値の違いを解説

statistics

データの代表値を適切に用いることは、データ分析において重要な役割を果たします。平均値や中央値に加え、最頻値も代表値の一つとして活用されます。本ブログでは、統計学の基本的な指標である平均値と中央値の違いや特徴を具体例を用いて解説し、さらに外れ値が存在する場合の注意点や、最頻値の活用方法についても説明します。データの特性に合わせて代表値を使い分けることで、より適切なデータ分析ができるようになるでしょう。

目次

1. 統計学の基本指標「平均値」と「中央値」とは?

統計学では、データ集団の中心的な傾向を表すために「平均値」と「中央値」という基本的な指標が使用されます。これらの指標は、データの特性や分布を理解する上で重要な役割を果たします。

平均値

平均値は、データの合計値をデータの個数で割った値です。データ全体の中心を示す指標であり、算術平均とも呼ばれます。データ全体を均等に分布した場合に最も適した指標です。

中央値

中央値は、データを小さい順に並べた際に中央に位置する値です。データの順序に依存するため、外れ値の影響を受けにくく、データの中心的な特徴をより正確に示すことができます。特にデータの分布が偏っている場合に有用な指標です。

統計的な解析では、平均値と中央値の両方を考慮することが重要です。データの特性や分布の形に合わせて使い分けることで、より適切な結果を得ることができます。

2. 平均値と中央値の違いを具体例で解説

平均値と中央値は、統計的なデータを分析する際に使われる代表値です。しかし、それぞれの計算方法や特性には違いがあります。具体例を使って、平均値と中央値の違いを解説しましょう。

2.1 データの分布が歪んでいない場合の例

まずは、データの分布が歪んでいない場合を考えてみましょう。例として、ある職場の16人のアルバイトの勤続年数を集計したデータを使います。得られたデータは以下のようになっています。

  • 1, 2, 3, 4, 5, 5, 5, 5, 5, 5, 5, 5, 6, 7, 8, 9

このデータに対して、平均値と中央値を求めると次のようになります。

平均値の計算方法:
(1 + 2 + 3 + 4 + 5 + 5 + 5 + 5 + 5 + 5 + 5 + 5 + 6 + 7 + 8 + 9) / 16 = 5.0

中央値の計算方法:
データを小さい順に並べて中央の値を求める。この場合、5と5の間の値なので、中央値は5になります。

この例では、平均値と中央値が同じ値である5となります。

2.2 データの分布が歪んでいる場合の例

次に、データの分布が歪んでいる場合を考えてみましょう。再びある職場の16人のアルバイトの勤続年数を集計したデータを使います。得られたデータは以下のようになっています。

  • 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 9, 9

このデータに対して、平均値と中央値を求めると次のようになります。

平均値の計算方法:
(1 + 1 + 1 + 1 + 1 + 1 + 1 + 1 + 1 + 1 + 1 + 1 + 1 + 1 + 9 + 9) / 16 = 2.0

中央値の計算方法:
データを小さい順に並べて中央の値を求める。この場合、8番目と9番目の1の平均なので、中央値は1になります。

この例では、平均値と中央値が異なる値になります。

以上の例からわかるように、データの分布によって平均値と中央値は異なる値を取ることがあります。歪みのないデータでは平均値と中央値は近い値になることが多いですが、歪みのあるデータでは平均値と中央値が離れてしまうことがあります。

3. データの特性に合わせて使い分ける

データの特性に応じて、適切な代表値を選び使用することが重要です。以下の場合には、平均値と中央値を使い分けることが適切です。

3.1 データの分布に応じて使い分ける

データの分布がきれいな山型である場合には、平均値や中央値、最頻値が近い値を取ることができます。このような場合、すべての値を考慮できる平均値をデータの代表値として使用します。

一方、データの分布がきれいな山型ではなく、極端な外れ値が存在する場合には、平均値は外れ値の影響を受けやすくなります。そのため、中央値をデータの代表値として活用します。中央値はデータを大きさの順に並べ、中央に位置する値です。外れ値がある場合でも、中央値は外れ値にあまり影響を受けず、データ全体の特性をより適切に表現できます。

3.2 データのばらつきに応じて使い分ける

データのばらつきが大きい場合には、平均値がデータを適切に代表することが難しくなります。そのような場合には、最頻値をデータの代表値として使用します。最頻値はデータの中で最も頻度が高い値を指し、データのばらつきが大きくても影響を受けにくい特性があります。ただし、最頻値が2つ以上存在する場合には、複数の最頻値を特定する必要があります。

3.3 データの特性を把握し活用する

データの特性に合わせて平均値と中央値を使い分けることで、正確なデータの代表値を得ることができます。データ分析では、それぞれの代表値を適切に活用することで、データの特性をより深く理解することができます。特にデータの分布や外れ値の存在に注目し、適切な代表値を選択することが重要です。

代表値の選び方や使い分けを習得することで、データ分析の精度を向上させることができます。データの特性に応じた代表値の使用は、正確な分析結果を得るために不可欠なステップです。

4. 外れ値が存在する場合の注意点

データの分析において、外れ値は重要な要素です。外れ値とは、非常に大きな値や非常に小さな値のことを指します。外れ値が存在すると、平均値がその値の方向に引っ張られてしまい、データの分析結果に大きな影響を与える可能性があります。

外れ値の影響を避けるためには、平均値だけでなく中央値や最頻値など、他の代表値も算出することが重要です。中央値はデータを値の小さい順に並べたときに中央に位置する値であり、外れ値の影響を受けにくい特徴があります。最頻値はデータ中で最も頻繁に現れる値であり、データの特徴を把握する際にも重要な情報となります。

外れ値が存在する場合、平均値だけを見ると正確なデータの特徴を把握することは困難です。そのため、中央値や最頻値も確認することで、より正確な結果を得ることができます。

以下に、外れ値が存在する場合の注意点をまとめます。

  • 外れ値はデータの平均値に大きな影響を与える可能性があるため、単独で解釈する際には注意が必要です。
  • 中央値や最頻値など、他の代表値も併せて算出することでデータの特徴を正しく把握できます。
  • 外れ値の除去や修正を検討する場合は、データの背景や特性を考慮して行う必要があります。
  • 外れ値の分析や扱い方には、専門知識や経験が必要な場合があります。

これらの注意点を踏まえてデータの分析を行うことで、より正確な結果を得ることができます。外れ値の影響を適切に扱い、データの特性を正しく把握することが重要です。

5. 最頻値も代表値の一つ

最頻値(mode)は、データの中で最も頻度が高い値を示す代表値の一つです。最頻値はデータを整理して並び替え、同じ値の数をカウントすることで求めることができます。そのため、最頻値はデータの中で最も頻繁に現れる値を表しています。

最頻値はデータの数が多い場合に特に有用です。データの中で最も出現回数が多い値なので、実際の生活や統計の分析において意味を持つ値となります。

例えば、以下のようなデータがあるとします:「5, 2, 3, 5, 7, 9, 5」。このデータにおいて、「5」が最も出現回数が多いため、最頻値は「5」となります。

最頻値はデータの特徴を把握する際に有用な指標ですが、全てのデータを反映しているわけではありません。そのため、最適な代表値を選択するためには、データの性質や目的に応じて適切な代表値を選ぶことが重要です。

最頻値には制約もあります。データの母数が少なく、他のデータの出現回数とほとんど変わらない場合には、最頻値の適切性が疑問視されることがあります。そのような場合は、他の代表値を検討する必要があります。

最頻値も平均値や中央値と同様にデータの特徴を表す代表値の一つです。しかし、最適な代表値を選ぶためには、データの性質や目的に応じて注意が必要です。

まとめ

統計学における基本的な代表値である「平均値」と「中央値」について解説しました。データの分布や特性に応じて、それぞれの代表値を使い分けることが重要です。平均値は全体の傾向を示しますが、外れ値の影響を受けやすい一方、中央値は外れ値の影響を受けにくい特徴があります。また、最頻値も代表値の一つで、データの出現頻度を捉えることができます。分析の目的に応じて、これらの代表値を適切に使い分けることで、データの特性をより深く理解し、正確な分析結果を得ることができます。データ分析においては、代表値の選択が重要な鍵を握っていると言えるでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

 大学卒業後、デジタルマーケティング企業に入社し、BtoBマーケティングのコンサルに従事。200社以上のコンサルティング経験に加え、ウェビナー・ワークショップ・Academyサイトの立ち上げに携わり、年間40件のイベント登壇と70件の学習コンテンツ制作を担当。
 その後、起業を志す中で、施策先行型のサービス展開ではなく企業の本質的な体質改善を促せる事業を展開できるよう、AI/DX分野において実績のあるAIソリューション企業へ転職。
 現在はAIソリューション企業に所属しながら、個人としてもAI×マーケティング分野で”未経験でもわかりやすく”をコンセプトに情報発信活動やカジュアル相談を実施中。

目次