【徹底解説】期待値・分散がわかれば確率の扉が開く! 計算方法から意味までを噛み砕く

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確率統計の世界では、期待値と分散は重要な概念です。このブログでは、期待値と分散の意味や計算方法、そして平均との違いについて詳しく解説しています。確率変数の特性を理解するためには、これらの概念を理解することが不可欠です。本ブログを通して、期待値と分散の奥深い知識を身に付けましょう。

目次

1. 期待値とは何か?~宝くじの例から基本を理解する~

期待値は、確率論の中で非常に重要な概念の一つです。具体的には、ある確率変数が取りうる値に対して、その値がどのくらいの頻度で出現するかを考慮しながら、平均的にどのような値を期待できるのかを示します。この理解のために、宝くじの例を使ってみましょう。

宝くじの例

宝くじは、私たちの日常の中で期待値の良い例です。例えば、ある宝くじの公式サイトによると、収益金のうち当選金として支払われた金額が46.5%だとします。これは、購入した金額に対して、実際にどれだけの金額が戻ってくるかを示す数値です。この場合、期待値は50%未満です。そのため、宝くじを購入すると、投資した金額の半分以下の価値になる可能性が高いということが分かります。

期待値の計算

期待値は次のように計算します。各結果の値とその発生確率を掛け算し、それを合計します。例えば、サイコロを振った場合、サイコロの出る目は1から6までの6つです。それぞれの出目が出る確率は均等に1/6です。この場合、期待値E(X)は以下のように計算されます。

[
E(X) = 1 \times \frac{1}{6} + 2 \times \frac{1}{6} + 3 \times \frac{1}{6} + 4 \times \frac{1}{6} + 5 \times \frac{1}{6} + 6 \times \frac{1}{6} = 3.5
]

この結果から、サイコロを振ったときの期待値は3.5であることが分かります。

平均の意味

期待値はしばしば「平均」とも呼ばれますが、注意すべきなのは「期待値」と「平均」が同じ意味を持つわけではないということです。期待値は全ての可能な結果を考慮した場合の長期的な平均を示し、実際に個々の試行で得られる値はこれとは異なることが多いためです。この違いを理解することが重要です。

期待値を理解することで、私たちは結果がどのように出る可能性が高いかを予測し、リスクを管理することができるようになります。特に、ギャンブルや投資においては、この知識が非常に役立つのです。

2. 分散の意味と計算方法

分散とは何か

分散は、データのばらつきを数値として表す指標です。具体的には、与えられたデータセットの各値が平均からどの程度離れているかを示します。分散が大きいほど、データは平均から大きく外れていることを意味し、逆に分散が小さい場合は、データが平均に近いことを示します。分散は、離散的な確率変数において特に重要な概念です。

分散の計算方法

分散の計算には、いくつかのステップがあります。まず、データセットの平均を求め、その平均値と各データの差を計算します。この差を二乗し、二乗した値の平均を取ることで分散を得ることができます。

ステップ1: 平均の計算

データセットの平均(μ)を計算します。例えば、データセットが ([x_1, x_2, \ldots, x_n]) の場合、平均は次のように求められます。

[
\mu = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} x_i
]

ステップ2: 各データの差を計算

次に、各データ点と平均の差を計算します。これを ((x_i – \mu)) と表します。

ステップ3: 差の二乗を計算

各差を二乗して、((x_i – \mu)^2) を求めます。

ステップ4: 二乗の平均を取る

二乗した値の平均を計算します。この結果が分散(V)です。数式で表すと、次のようになります。

[
V = \frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (x_i – \mu)^2
]

標本分散と母分散

分散には「標本分散」と「母分散」があります。母分散は母集団全体のデータに基づいて計算されるもので、次のように表されます。

[
\sigma^2 = \frac{1}{N} \sum_{i=1}^{N} (x_i – \mu)^2
]

一方、標本分散は母集団の一部を抽出したサンプルから計算されるもので、次のように表現されます。

[
s^2 = \frac{1}{n-1} \sum_{i=1}^{n} (x_i – \overline{x})^2
]

ここで、(\overline{x}) は標本の平均を表し、(n) は標本のサイズです。標本分散では、分母に (n-1) を使用することで、不偏推定量を得ることができます。

3. 平均との違いを整理しよう

平均とは?

「平均」という言葉は、一般的に数値データの中心的な値を指します。特に、データセットの全ての数値を合計し、その合計をデータの数で割ったものを平均値と呼びます。これは、データがどのように分布しているのかを簡潔に示す一つの指標です。しかし、平均だけではデータの特性を全て把握することはできません。

平均の弱点

平均は、データの「中心」を示す便利な指標ですが、以下のような短所があります:

  • 外れ値の影響
    平均は極端な値、つまり外れ値に非常に敏感です。例えば、5人のテストの点数が「90, 85, 100, 95, 10」の場合、平均ははるかに下がってしまいます。このケースでは、実際の大多数のパフォーマンスを正確に反映していないことが明らかになります。

  • ばらつきの把握が難しい
    たとえデータの平均が同じでも、データがどれだけ散らばっているか、すなわちばらつきが異なる場合が多いです。従って、中央値や分散など、他の指標と組み合わせてデータを評価する必要があります。

分散との違い

分散は、データセットのばらつき具合を示す指標です。具体的には、全てのデータ点が平均からどれだけ離れているかを平方して平均した値となります。分散は以下の点で平均との違いが明確です。

  • データのばらつきを評価
    分散は、データが平均からどれだけ散らばっているかを数値で表します。データセットの一貫性や安定性を知るためには、分散の値が重要な役割を果たします。例えば、2つのデータセットがあり、どちらも平均が80点に達していても、一方が「82, 78, 80, 81, 79」といったデータで、もう一方が「90, 70, 80, 60, 100」の場合、平均では同様ですが、分散には大きな違いがあります。

  • 異なる視点からの分析
    平均は中心を示すだけです。しかし、分散はデータ全体の散らばり方を考慮します。したがって、あるデータが非常に集中しているのか、あるいは広範囲に分散しているのかを示すのに適しています。この点において、分散はより多面的な視点を提供します。

まとめ

データ分析において、平均と分散は互いに補完し合う重要な指標です。平均はデータの中心を示す一方で、分散はその周りの散らばり方を示します。これらを併用することで、データをより深く理解することが可能になります。平均だけでなく、データ全体の特性を評価するためにも、分散の概念を理解することが大切です。

4. 期待値と分散は確率変数の何を表すのか

確率変数の性質を理解するためには、期待値と分散の役割を明確に区別することが重要です。これらの指標は、データの特性を示す異なる視点を提供します。

期待値:平均的な結果を示す指標

期待値は、ある確率分布における「中心」の位置を示す値であり、確率変数が取りうるすべての実現値に、それぞれの発生確率を掛け合わせたものの合計です。直感的に言うと、期待値は「平均的に期待される値」を表しています。

たとえば、サイコロを振った場合、その期待値は3.5になります。これは、サイコロの目が均等に出る確率に基づいて計算されたものであり、長期的に見たときの平均値を示しています。このように、期待値はデータセットの中心的位置を把握するための重要な指標です。

分散:値のばらつきを測る指標

一方、分散はデータの散らばり具合やばらつきを示す指標です。具体的には、各実現値が期待値からどれだけ離れているかを二乗して平均した値です。分散が大きい場合、データの値は期待値から大きく離れていることが多いことを示し、小さい場合は、データが期待値の周りに近接していることを意味します。

たとえば、1から6までの目をもつサイコロにおいては、分散を計算すると、得られる値は期待値の3.5の周りに分布する目の散らばり具合を示します。具体的には、サイコロの目が中心に近い場合よりも、全体としてより広範囲に分散している場合、分散値は高くなります。

期待値と分散の関係性

期待値と分散は、確率変数の異なる側面を捉えており、併せて利用することで、より深い分析が可能となります。期待値はデータの「中心」を示し、分散はそのデータがどの程度「散らばっているか」を示します。これにより、データの構造を多角的に理解することができるのです。

さらに、データ分析において期待値と分散は、確率分布の形状を理解する上での基礎的な指標となります。期待値が示す中心位置と、分散が示す散らばり具合をもとに、データの分布特性を詳細に解析することで、実践的な意思決定にも役立てることができます。

以上のように、期待値と分散は確率変数の基本的な特性を理解する上で、極めて重要な指標であることがわかります。これらを組み合わせることで、データの理解がより深まり、分析の精度が向上します。

5. 実際の問題に分散の概念を当てはめてみる

分散の概念を理解するためには、具体的な問題に取り組むことが大切です。このセクションでは、いくつかの問題を通じて分散の計算を実践していきます。

5.1 カードの例

まず、次のような問題を考えてみましょう。

問題
袋の中に以下のカードが入っています。
– 1のカード:200枚
– 10のカード:80枚
– 100のカード:16枚
– 1000のカード:4枚

これらのカードの中から1枚を取り出すとき、取り出したカードの数を (X) とした場合の分散 (V(X)) を求めます。

解答の手順

  1. 確率分布の計算

まず、各カードの出現確率を計算します。合計枚数は300枚なので、次のようになります。

  • (P(X=1) = \frac{200}{300} = \frac{2}{3})
  • (P(X=10) = \frac{80}{300} = \frac{8}{30})
  • (P(X=100) = \frac{16}{300} = \frac{8}{150})
  • (P(X=1000) = \frac{4}{300} = \frac{2}{150})
  1. 期待値の計算

次に、期待値 (E(X)) を計算します。期待値の計算は次のように行います。

[
E(X) = 1 \cdot P(X=1) + 10 \cdot P(X=10) + 100 \cdot P(X=100) + 1000 \cdot P(X=1000)
]
実際に計算して期待値を求めましょう。

  1. 分散の計算

分散は次の式で計算できます。

[
V(X) = E(X^2) – (E(X))^2
]

ここで、(E(X^2)) は次のように計算します。

[
E(X^2) = 1^2 \cdot P(X=1) + 10^2 \cdot P(X=10) + 100^2 \cdot P(X=100) + 1000^2 \cdot P(X=1000)
]

それぞれの計算を行い、最終的に分散を求めます。

5.2 模試の得点の例

次に、受験生であるAさんとBさんが受けた模試の得点を考えます。各受験生の得点から分散を計算することで、得点のばらつき具合を理解しましょう。

問題
Aさんの得点: [65, 70, 75, 80]
Bさんの得点: [60, 70, 80, 90]

解答の手順

  1. 平均の計算

まず、AさんとBさんそれぞれの得点の平均を計算します。

[
\text{Aさんの平均} = \frac{65 + 70 + 75 + 80}{4}
]
[
\text{Bさんの平均} = \frac{60 + 70 + 80 + 90}{4}
]

  1. 分散の計算

次に、分散を求めるために、定義式を用います。

[
V(X) = \frac{1}{n} \sum (X_i – \mu)^2
]

得点から計算された平均を使い、各得点から平均を引いた値を2乗し、これらを合計します。得点が少ない方がばらつきが小さいことに注目しましょう。

  1. 結果の分析

最終的にAさんとBさんの得点の分散を比較し、どちらの受験生が得点のばらつきが小さく、より安定した成績を残せているかを分析します。分散を求めることで、単に平均点だけではなく、点数のばらつきがどれほどあるかを把握できることは重要です。

まとめ

期待値と分散は互いに補完し合う重要な概念であり、確率変数の性質を理解するうえで欠かせません。期待値は「平均的に期待される値」を示し、分散は「データのばらつき」を示します。これらを組み合わせることで、データの分布特性をより詳細に把握でき、実践的な意思決定にも役立てることができます。宝くじや模試の得点などの具体例を通じて分散の計算を実践したように、理論的な理解だけでなく、実際の問題に応用することが重要です。期待値と分散を相互に活用しながら、データ分析の精度を高めていきましょう。

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この記事を書いた人

 大学卒業後、デジタルマーケティング企業に入社し、BtoBマーケティングのコンサルに従事。200社以上のコンサルティング経験に加え、ウェビナー・ワークショップ・Academyサイトの立ち上げに携わり、年間40件のイベント登壇と70件の学習コンテンツ制作を担当。
 その後、起業を志す中で、施策先行型のサービス展開ではなく企業の本質的な体質改善を促せる事業を展開できるよう、AI/DX分野において実績のあるAIソリューション企業へ転職。
 現在はAIソリューション企業に所属しながら、個人としてもAI×マーケティング分野で”未経験でもわかりやすく”をコンセプトに情報発信活動やカジュアル相談を実施中。

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