適合度検定入門 – データ分析に欠かせない統計手法を徹底解説!

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データ解析は様々な分野で活用されています。特に統計的手法を用いて、観測データの背後にある真の姿や法則性を明らかにすることは重要です。本ブログでは、適合度検定という統計的手法とその実践的な適用方法について解説していきます。適合度検定は、データの比率が理論上の比率と異なるかどうかを検証する際に用いられる手法です。ビジネスや医療、さまざまな分野で役立つ適合度検定の概念と手順を理解することで、データに基づく正確な判断を下すことができるでしょう。

目次

1. 適合度検定とは何か?

適合度検定は、データの比率が理論上の比率とどれだけ異なるかを検証する統計的手法です。具体的には、帰無仮説における期待度数と実際の観測データの当てはまりの良さを評価します。

適合度検定は、主にカテゴリーデータの分布に偏りがないかどうかを確認するために使用されます。カテゴリーデータとは、色や味などの属性で分けられたデータのことです。

適合度検定では、カイ二乗検定という統計手法が使われます。カイ二乗検定は、観測度数と期待度数の差異を算出し、その差異が偶然かどうかを確率として評価します。具体的には、計算されたカイ二乗値と有意水準を比較し、差異が統計的に有意かどうかを判断します。

適合度検定の使用条件としては、データがカテゴリーデータであることや理論比率が既知であることがあります。連続値のデータや理論比率が分からない場合には適合度検定は適用できません。

適合度検定を使用することで、データが理論比率と一致しているかどうかを評価することができます。これにより、データの分布に偏りがないかを確認し、信頼性の高い結果を得ることが可能です。

適合度検定は、統計解析の重要な手法の一つであり、特にカテゴリーデータの分布を調べる場合に有用です。次のセクションでは、なぜカイ二乗検定が適合度検定で使われるのかについて詳しく説明していきます。

2. カイ二乗検定の使用理由

カイ二乗検定は、ある群と別の群の比率に差があるかどうかを検証する統計手法です。適合度検定でなぜカイ二乗検定が使われるのでしょうか?

2.1 理論値とのズレを計算するため

カイ二乗検定は、理論比率と実測比率の差が偶然かどうかを検証します。適合度検定でも、実測値と理論値とのズレを計算しています。このズレを通じて、実測値が理論値から逸脱しているかどうかを判断することができます。

2.2 カイ二乗分布を利用して確率を算出するため

カイ二乗検定では、計算されたカイ二乗値をカイ二乗分布と比較し、偶然である確率(p値)を算出します。このp値が有意水準より小さければ、ある群と別の群に差があると判断されます。カイ二乗分布を利用することで、実測値のズレが偶然によるものか、本当の差異があるものかを判定することができます。

カイ二乗検定は、適合度検定において実測値と理論値とのズレを検証するための有効な統計手法です。理論値と実測値のズレを検証することで、データの相違を客観的に評価することができます。以上がカイ二乗検定が適合度検定に使われる理由です。

3. 適合度検定の使用場面

適合度検定は、あるデータの比率が理論上の比率と差がないか検証するための統計手法です。適合度検定は以下のような場面で役立ちます。

適合度検定が役立つ場面

  • ランダムに集めた被験者の男女比が、理論上の比率と異なると思われる場合:実際の比率と理論上の比率の差が偶然かどうかを確かめたい場合に適合度検定を利用できます。
  • 病院内で特定の疾患の比率が一定であると予想されるが、実際のデータからは異なる比率が得られた場合:この差が偶然のものかどうかを検証するために適合度検定を行います。

適合度検定が使える条件

以下の条件を満たす場合に、適合度検定が使用できます。

  1. データがカテゴリーデータであること(比率で表せるカテゴリーなら何種類でも可能)
  2. データの理論比率が分かっていること(本来の比率を知っていること)

逆に、データが連続値で比率で表せない値である場合や、理論比率が分からない場合には、適合度検定を使用することはできません。ただし、連続値に対して適合度検定を行いたい場合は、例えば年齢データなら10歳ごとに分けてカテゴリーデータに変換し、比率に変換することができます。

以上が適合度検定が役立つ場面や使える条件についての説明です。適合度検定はデータの比率が理論上の比率とどの程度ズレているかを検証するための手法です。次は、適合度検定と独立性の検定の違いについて解説します。

4. 適合度検定と独立性の検定の違い

適合度検定と独立性の検定は、統計的な検定手法ですが、その目的と仮説が異なります。以下では、適合度検定と独立性の検定の違いについて詳しく説明します。

4.1 適合度検定の目的と仮説

適合度検定は、あるデータの比率が理論比率と異なるかどうかを検証します。具体的には、データのカテゴリーデータ(比率で表せる)であり、そのデータの理論比率が分かっている場合に使用されます。適合度検定の仮説は、実際のデータと理論比率が一致する(差がない)というものです。

4.2 独立性の検定の目的と仮説

独立性の検定も適合度検定と同様にカイ二乗検定として行われます。しかし、独立性の検定では、ある群とある群の比率が異なるかどうかを検証します。つまり、2つの群の比率が互いに独立ではないという仮説を検証します。

4.3 適合度検定の計算方法

適合度検定では、実測値と理論値の差を求め、その差の二乗を実測値に対応する理論値で割って合計することで、統計量(カイ二乗値)を算出します。この統計量をカイ二乗分布に基づいて検定を行います。

4.4 独立性の検定の計算方法

独立性の検定でも、適合度検定と同様にカイ二乗値を計算します。ただし、独立性の検定では、実測値と理論値の差の二乗を、理論値そのもので割って合計します。これにより、統計量としてのカイ二乗値を求め、その値をカイ二乗分布に基づいて検定します。

4.5 適応度検定と独立性の検定の利用場面

適合度検定は、データの比率が理論比率と異なるかどうかを検証する際に使用されます。例えば、被験者の性別比率が理論上の比率と異なる場合に適合度検定を行うことで、被験者の集め方に問題があるのかどうかを判断することができます。一方、独立性の検定は、2つの群の比率が互いに独立ではないかを検証する際に使用されます。例えば、スポーツチームの経験の度合いが異なる子供たちをチーム間で均等に配分する際に独立性の検定を行うことで、チーム間の均等性を確認することができます。

適合度検定と独立性の検定は、統計量の算出方法やカイ二乗分布の使用は似ていますが、その目的、仮説、利用場面が異なります。適合度検定はデータの比率の適合性を検証し、独立性の検定は2つの群の比率の独立性を検証します。

5. 実例を用いた適合度検定の手順

実際の例を通じて、適合度検定の手順を説明します。この手順では、EXCELを使用し、以下の手順に従って操作します。

適合度検定のための事前準備

適合度検定を行う前に、いくつかの準備が必要です。以下の3つのポイントについて考えましょう。

  1. 何の比率を検証するのか?
  2. 理論比率はどの程度であるか?
  3. 有意水準はどの程度に設定するか?

具体例で説明します。ある研究では、同じ病院内でランダムに集められたデータの疾患比率に偏りがないかを検証したいとします。以下の設定で準備を進めていきましょう。

  1. 何の比率を検証するのか?
    今回は疾患比率を検証します。

  2. 理論比率はどの程度であるか?
    病院の疾患比率を理論比率とします。例えば、「整形:脳血管障害:心疾患:その他 = 4:3:2:1」のような疾患比率が病院のデータから得られた場合、この比率を理論比率とします。

  3. 有意水準はどの程度に設定するか?
    一般的に有意水準は5%と設定します。

データをクロス集計表にまとめる

次に、データをクロス集計表にまとめます。例えば、以下のようなクロス集計表を作成します。

  • 実測値
  • 理論比率

整形:50:40
脳血管障害:30:30
心疾患:20:20
その他:10:10
計:110:100

カイ二乗検定を実行する

最後に、カイ二乗検定を実行し、p値を算出します。EXCELの”CHISQ.TEST関数”を使用して次のように計算します。

  1. EXCELの任意のセルに”=CHISQ.TEST(実測値, 理論比率)”と入力します。
  2. Enterキーを押すと、p値が自動的に算出されます。

この例では、p = 0.02となり、有意水準5%を下回っているため、疾患比率に偏りがあると判断されます。データがランダムに集められていない可能性があり、再検討が必要とされます。

以上が、実例を用いた適合度検定の手順です。データの比率を確認するために適合度検定を利用することは、研究において非常に重要です。EXCELを使用することで簡単に検定を行うことができますので、ぜひ活用してみてください。

まとめ

適合度検定は、データの分布が理論上の分布と一致しているかを評価する重要な統計手法です。カイ二乗検定を用いることで、実測値と理論値のズレが偶然によるものかどうかを判定できます。適合度検定は、性別比率や病院内の疾患比率など、カテゴリーデータの分布を確認する際に役立ちます。本記事では、適合度検定の概要、カイ二乗検定の使用理由、適用場面、適合度検定と独立性検定の違い、そして実例を用いた検定手順を説明しました。適合度検定は、研究データの信頼性を高める重要な手法であり、ぜひ研究の場面で活用してみてください。

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この記事を書いた人

 大学卒業後、デジタルマーケティング企業に入社し、BtoBマーケティングのコンサルに従事。200社以上のコンサルティング経験に加え、ウェビナー・ワークショップ・Academyサイトの立ち上げに携わり、年間40件のイベント登壇と70件の学習コンテンツ制作を担当。
 その後、起業を志す中で、施策先行型のサービス展開ではなく企業の本質的な体質改善を促せる事業を展開できるよう、AI/DX分野において実績のあるAIソリューション企業へ転職。
 現在はAIソリューション企業に所属しながら、個人としてもAI×マーケティング分野で”未経験でもわかりやすく”をコンセプトに情報発信活動やカジュアル相談を実施中。

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