Pythonの『内包表記』でコーディングがラクになる!?コンパクトで高速な書き方

programming

今回のブログではPythonにおける内包表記について解説しています。内包表記はPythonのコードを簡潔かつ効率的に書くことができる強力な機能です。特に、リスト内包表記、セット内包表記、辞書内包表記について詳しく取り上げています。内包表記の基本形から始まり、条件分岐の使い方、複数の内包表記の組み合わせ方など、具体的な例を交えながら丁寧に解説しているので、内包表記の理解が深まるでしょう。

目次

1. 内包表記とは?

programming

内包表記は、Pythonの特殊な構文の一つであり、コードを短く簡潔に書くことができます。主にリスト内包表記やセット内包表記、辞書内包表記などの形式がありますが、ここでは特にリスト内包表記について詳しく説明します。

内包表記は、イテラブルなオブジェクトから要素を取り出し、それに対して式や処理を行い、新しいリストを生成する方法です。このことにより、一つの行で簡潔にリストを生成することができます。

具体的な例を見てみましょう。

以下のコードは、0から2未満の自然数をリストとして表現しています。

python
L = [x for x in range(3) if x < 2]

この場合、出力結果は [0, 1] です。

内包表記では、range(3) のようなイテラブルなオブジェクトから要素を取り出し、条件式を満たす要素に対して式を適用して新しいリストを生成します。

集合内包表記や辞書内包表記と同様、内包表記は数学の集合内包表記に似た形式です。リスト内包表記では、要素を列挙する外延的な記法と、要素が満たすべき条件を記述する内包的な記法があります。

内包表記の基本形の構文は以下のようになります。

新しいリスト = [式 for 要素の変数 in イテラブルなオブジェクト if 条件式]

内包表記の基本形について説明しました。次に、リスト内包表記での条件分岐や、複数の内包表記の使い方、さらに辞書内包表記や集合内包表記についても解説していきます。

2. リスト内包表記の基本形

coding

リスト内包表記は、リストの要素を簡潔な書き方で定義する方法です。リスト内包表記の基本形は次のようになります。

python
a = [x for x in hoge] # hogeはイテラブル

この形式では、リストリテラル [] 内に for ループが記述されます。リスト内包表記を使わずに同じ結果を得るには、以下のようなコードを書く必要があります。

python
a = []
for x in hoge:
a.append(x)

リスト内包表記は、一行で要素を追加する処理を行うため、 for 文や if 文を使用する場合に便利です。例えば、繰り返し処理や条件分岐の結果をリストに格納する場合に活用できます。ただし、リスト内包表記は初めて見る場合には少し難しく感じるかもしれません。慣れるまで徐々に使ってみて、より効率的なコードを書けるようにしましょう。

なお、リスト内包表記以外にもセット(set)や辞書(dict)を生成するための内包表記も存在します。興味がある方はAI Academy Bootcampなどを活用して、Python の効率的な使い方を学んでみてください。

(参考: リスト内包表記について)

3. リスト内包表記での条件分岐

programming

リスト内包表記では、条件分岐を利用して特定の条件を満たす要素だけをリストに追加することができます。

3.1 一般的な条件分岐

リスト内包表記で一般的な条件分岐を使うための書式は、以下の通りです:

  • [式 for 仮変数 in イテラブルオブジェクト if 条件式]

条件式を満たす要素だけがリストに追加され、その要素の値が式に代入されます。

例えば、次の例を見てみましょう:

python
numbers = [i for i in range(1, 11) if i % 2 == 0]
for i in numbers:
print(i)

実行結果:
2
4
6
8
10

この例では、1から10までの数値のうち、2で割った余りが0の要素だけがリストに追加されます。リスト内包表記を使うことで、条件を満たす要素だけを簡潔に抽出することができます。

3.2 三項演算子を使った条件分岐

また、三項演算子を使って条件分岐を行うこともできます。三項演算子はif-else文を一行で記述するための書式であり、次のような書式を持ちます:

  • trueの処理 if 条件式 else falseの処理

このような書式を利用することで、条件を満たす場合と満たさない場合で異なる値を代入することができます。

例えば、次の例を見てみましょう:

python
numbers = [i if i % 2 == 0 else '奇数' for i in range(1, 6)]
for i in numbers:
print(i)

実行結果:
奇数
2
奇数
4
奇数

この例では、1から5までの数値のうち、2で割った余りが0の場合はそのままの値を、そうでない場合は文字列’奇数’をリストに追加しています。三項演算子を使うことで、条件に基づいて異なる値をリストに追加することができます。

リスト内包表記を使用することで、条件分岐を含んだ短いコードを書くことができます。条件を満たす要素だけを抽出する場合や、異なる値を条件に応じて追加する場合に活用してみてください.

4. 複数の内包表記の使い方

programming

複数の内包表記を組み合わせることで、より複雑な処理を簡潔に表現することができます。以下では、複数の内包表記の使い方と具体的な例を紹介します。

4.1. 二重の内包表記

二重の内包表記は、リストやタプルなどの入れ子の配列を展開するときや行列演算を行うときに便利です。以下のような書式で表されます。

  • 二重の内包表記を使って、一次元のリストを作成することができます。
  • 書式: b = [i for l in [[1, 2],[3, 4]] for i in l]
  • 解説: 最初のfor文でリスト[[1, 2],[3, 4]]内の要素を順番に取り出し、二番目のfor文で各要素内の要素を順番に取り出しています。

4.2. 複数のif節を含む内包表記

内包表記には複数のif節を含めることもできます。これにより、複数の条件を同時に満たす要素だけをリストに格納することができます。以下のような書式で表されます。

  • 内包表記に複数のif節を含めることで、複数の条件を同時に満たす要素だけを取り出すことができます。
  • 書式: numbers = [i for i in range(1, 11) if i % 2 == 0 if i % 3 == 0]
  • 解説: この例では、range(1, 11)に含まれる要素の中で、2で割っても3で割っても余りが0になる要素のみを取り出しています。

4.3. 複数のfor節を含む内包表記

内包表記には複数のfor節を組み合わせることもできます。これにより、複数の入れ子構造のループ処理を一行で記述することができます。以下のような書式で表されます。

  • 複数のfor節を組み合わせることで、全ての組み合わせを一次元のリストに格納することができます。
  • 書式: numbers = [(x, y) for x in range(1, 4) for y in range(4, 7)]
  • 解説: 最初のfor節でxに1から3までの値を順番に代入し、二番目のfor節でyに4から6までの値を順番に代入しています。

複数の内包表記を組み合わせることで、より複雑な処理を効率的に記述することができます。二重の内包表記を使えば入れ子の配列を展開して一次元のリストにすることができますし、複数のif節やfor節を組み合わせれば複数の条件を同時に満たす要素や多重ループ処理を行うことができます。内包表記の組み合わせを使いこなすことで、コードの可読性と効率性を向上させることができるので、ぜひ活用してみてください。

5. 辞書内包表記と集合内包表記

dictionary

辞書内包表記とは、辞書型の要素を作成するための構文です。辞書内包表記は、キーと値のペアを指定して辞書を簡潔に生成することができます。

辞書内包表記の基本形は、以下のようになります:

python
{キーの式: 値の式 for 仮変数 in イテラブルオブジェクト}

この構文では、イテラブルオブジェクトから要素を一つずつ取り出し、指定したキーの式と値の式に従って辞書の要素を作成します。

例えば、次の辞書内包表記を考えてみましょう:

python
dist = {k: v for k, v in zip('abc', range(3))}
print(dist)

この例では、文字列の各文字とrange(3)の各要素をペアにして辞書を生成しています。実行結果は次の通りです:

{'a': 0, 'b': 1, 'c': 2}

集合内包表記は、集合型の要素を作成するための構文です。リスト内包表記とほとんど同じ形式を使用しますが、要素が重複しない集合を生成します。

集合内包表記の基本形は、以下のようになります:

python
{式 for 仮変数 in イテラブルオブジェクト}

この構文では、イテラブルオブジェクトから要素を一つずつ取り出し、指定した式に従って集合の要素を作成します。

例えば、次の集合内包表記を考えてみましょう:

python
dist = {i % 3 for i in range(5)}
print(dist)

この例では、range(5)の各要素を2で割った余りを求め、その結果を集合に追加しています。実行結果は次の通りです:

{0, 1, 2}

集合内包表記を使用することで、重複のない集合を簡潔に生成することができます。ただし、キーの指定がないために要素の順序は保証されませんので、注意が必要です。

まとめ

内包表記は、Pythonの強力な機能の一つです。リスト内包表記、辞書内包表記、集合内包表記など、様々な形式があり、それぞれ特長があります。内包表記を使うことで、繰り返し処理や条件分岐を含む複雑な処理を短く簡潔に記述できます。初めは難しく感じるかもしれませんが、徐々に理解を深めることで、より効率的なPythonプログラミングが可能になります。コーディングの効率化や可読性の向上に役立つ内包表記について、ぜひ日頃の開発に活用してみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

 大学卒業後、デジタルマーケティング企業に入社し、BtoBマーケティングのコンサルに従事。200社以上のコンサルティング経験に加え、ウェビナー・ワークショップ・Academyサイトの立ち上げに携わり、年間40件のイベント登壇と70件の学習コンテンツ制作を担当。
 その後、起業を志す中で、施策先行型のサービス展開ではなく企業の本質的な体質改善を促せる事業を展開できるよう、AI/DX分野において実績のあるAIソリューション企業へ転職。
 現在はAIソリューション企業に所属しながら、個人としてもAI×マーケティング分野で”未経験でもわかりやすく”をコンセプトに情報発信活動やカジュアル相談を実施中。

目次