回帰分析の全て – ビジネスデータ活用の新定番アプローチ

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ビジネスやマーケティングの現場で広く活用されている回帰分析。この統計的な手法には様々な種類があり、単回帰分析や重回帰分析などが存在します。本ブログでは、回帰分析の概要から具体的な手順、事例までを詳しく解説しています。データ分析の基礎を学びたい方や、実務で回帰分析を活用したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

1. 回帰分析の概要

回帰分析は、統計手法の一種であり、結果値を説明するための要因を分析します。それは「目的変数」と呼ばれる結果を説明するための要因である「説明変数」との関係を数値化し、因果関係を可視化することができます。回帰分析は予測にも利用されることがあります。

回帰分析は主に重回帰分析として行われます。重回帰分析は、複数の要因の関係を数値化し、ある結果を説明するための統計手法です。特にマーケティングの分野では、売上予測やプロモーション戦略の策定などに頻繁に使用されます。

他にも、単回帰分析やロジスティック回帰分析などの手法も回帰分析には存在しますが、重回帰分析は複数の説明変数を持つ場合に使用されます。単回帰分析は1つの変数と結果の関係を解析する手法であり、ロジスティック回帰分析は2値の結果を分析するための手法です。

回帰分析は、マーケティングや経済分析、予測などのさまざまな分野で重要な手法として活用されています。本記事では、回帰分析についてさまざまな側面を詳しく解説していきます。

2. 単回帰分析と重回帰分析の違い

単回帰分析と重回帰分析は、回帰分析の2つの異なる手法です。それぞれの手法の特徴を以下で説明します。

単回帰分析

単回帰分析は、1つの目的変数に対して1つの説明変数が使用される回帰分析です。単回帰分析では、目的変数と説明変数の関係性を直線で表し、その傾きを表す係数と切片を求めます。単回帰分析は、要素同士の関係性をシンプルに確認するために使用されます。

例えば、九九の習熟度と学習時間の関係や、両親の身長から子供の身長を予測する場合などに使用されます。

重回帰分析

重回帰分析は、1つの目的変数に対して複数の説明変数が使用される回帰分析です。重回帰分析では、目的変数を複数の説明変数の組み合わせで表現します。それぞれの説明変数の影響度を表す偏回帰係数が求められます。重回帰分析は、複数の要素がどのように関連しているのかを検証するために使用されます。

例えば、アイスクリームの売上を予測する場合は、宣伝広告や店舗の立地、当日の気温などの要素が関与するため、これらを説明変数として重回帰分析を行います。

単回帰分析と重回帰分析の最大の違いは、説明変数の数です。単回帰分析では1つの説明変数を使用し、重回帰分析では複数の説明変数を使用します。そのため、重回帰分析の方がより複雑な問題に対応でき、より現実の状況を反映した結果が得られます。

3. 回帰分析で何ができるのか

回帰分析は、データ解析手法の一つであり、特定の結果に対してどの要因がその結果に影響を与えているのかを分析することができます。以下では、回帰分析を利用することで実現できることについて解説します。

現状の傾向を把握できる

回帰分析を用いることで、データの様々な傾向やパターンを明らかにすることができます。たとえば、商品の売り上げ状況や不動産価格、人口状況の分析などがあります。回帰分析によって、売り上げや価格などの項目に対して、他の項目との関係性を数値で表すことができます。さらに、その関係性の強さも把握できるため、データの特徴を明確にするのに役立ちます。

未来の予測が可能

回帰分析を行うと、現在のデータから回帰式を立てることができます。この回帰式を用いることで、項目間の関係性の傾向から未来を予測することができます。過去のデータに基づいて回帰式を作成するため、近い未来の傾向を推定することができます。データサイエンスの技術を使った予測の方が精度が高いことが多いため、回帰分析はデータの特徴を把握する場面で主に使われています。

以上が、回帰分析を利用することで実現できることの一部です。回帰分析は、現状の傾向を把握するだけでなく、未来の予測も行うことができるため、ビジネス戦略の立案や意思決定のために有用な手法と言えます。ただし、回帰分析だけではなく他の多変量解析や分析手法も併用することが重要です。

4. 回帰分析の手順

回帰分析を行うためには、以下の手順を順番に進めます。

ステップ1:目的変数の定義

最初に、回帰分析の目的に応じて目的変数を明確に定義します。目的変数は分析の対象となる変数であり、例えば「売上予測を行いたい場合には売上額が目的変数になります。また、「顧客満足度に影響を与える要素を調査したい」という場合には顧客満足度が目的変数となります。

ステップ2:説明変数の抽出

次に、目的変数に影響を与えると考えられる要素である説明変数を選びます。例えば、売上予測の場合には駅からの距離、店舗面積、メニュー数、客単価、従業員数などが説明変数の候補として挙げられます。

ステップ3:データの収集と解析

選ばれた説明変数に関するデータを収集し、統計ソフトを使用して解析を行います。説明変数を一つずつ追加または削除しながら、最適な組み合わせを見つけ出します。一般的には、サンプルデータ数を15で割った値が適切な説明変数の数とされています。

ステップ4:重回帰式の作成

解析を行うと、重回帰式が得られます。重回帰式は、目的変数と説明変数の関係を数式で表したものです。重回帰式には、各説明変数の回帰係数と定数項が含まれます。

ステップ5:目的変数の算出と施策の立案

得られた重回帰式を利用して、計画データを代入することで目的変数を算出します。算出された目的変数や各説明変数の影響度を考慮しながら、施策の立案や検討を行います。例えば、売上予測が目標値を下回る場合には、影響度の大きい説明変数を改善する施策を考えることができます。

以上が回帰分析の手順です。各ステップを注意深く進めることで、結果の予測や施策の立案に役立つ情報を得ることができます。

5. 回帰分析の事例

回帰分析は様々な分野で活用されており、以下にいくつかの事例を紹介します。

5.1 マーケティング

  • 小売業における店舗の売上予測:売場面積、従業員数、販売商品数、駐車場の収容台数、駅からの距離などの要因を調査し、将来の売上高を予測します。
  • プロモーション施策の効果測定:広告費、販促活動の規模や内容、季節要因などの要因と売上高の関係を分析し、施策の効果を評価します。

5.2 金融

  • 顧客のローン返済能力予測:年収、貯蓄額、家族構成、勤続年数などの要因を元に、顧客の返済能力を予測します。
  • 株価のボラティリティ分析:過去の株価変動と経済指標などの要因を調査し、将来の株価の変動を予測します。

5.3 医療

  • 薬物治療の効果予測:患者の年齢、性別、体重、病歴などの要因を元に、治療の効果を予測します。
  • 疾患の進行予測:生活習慣、遺伝子情報、環境要因などの要因と疾患の進行の関係を調査し、将来の進行予測を行います。

5.4 その他

  • 交通渋滞予測:時間帯、天候条件、イベント開催有無などの要因を調査し、道路の交通量や渋滞の予測を行います。
  • エネルギー消費量の予測:気温、季節、人口密度などの要因を調査し、将来のエネルギー消費量を予測します。

これらは一部の例であり、回帰分析はさまざまな問題に応用することができます。回帰分析は適切な要因の選択やデータの正確な収集が重要であり、この手法を適切に活用することで、将来の予測や効果的な施策の立案に役立てることができます。

まとめ

回帰分析は、さまざまな分野で広く活用されている重要な分析手法です。目的変数と説明変数の関係性を明らかにし、現状の傾向を把握したり、未来の予測を行うことができます。分析の手順に沿って適切に実行すれば、意思決定や施策立案に有効な情報を得ることができます。ただし、回帰分析だけでなく、他の分析手法も組み合わせて活用することで、より精度の高い分析が可能になります。回帰分析は、データに基づいた経営や意思決定に欠かせない手法であり、今後もその重要性は高まり続けていくと考えられます。

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この記事を書いた人

 大学卒業後、デジタルマーケティング企業に入社し、BtoBマーケティングのコンサルに従事。200社以上のコンサルティング経験に加え、ウェビナー・ワークショップ・Academyサイトの立ち上げに携わり、年間40件のイベント登壇と70件の学習コンテンツ制作を担当。
 その後、起業を志す中で、施策先行型のサービス展開ではなく企業の本質的な体質改善を促せる事業を展開できるよう、AI/DX分野において実績のあるAIソリューション企業へ転職。
 現在はAIソリューション企業に所属しながら、個人としてもAI×マーケティング分野で”未経験でもわかりやすく”をコンセプトに情報発信活動やカジュアル相談を実施中。

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