統計学の基本!期待値と分散の正しい理解で分析力アップ

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期待値や分散は、統計学の中核を成す重要な概念です。これらの概念を正しく理解することは、さまざまなデータを適切に分析し、有用な情報を引き出すための基礎となります。このブログでは、期待値や分散の基本的な考え方から、確率変数の分散の性質、分散の求め方、分散の加法性と独立性までを詳しく解説しています。統計学の基礎を固める上で、ぜひ参考にしていただければと思います。

目次

1. 期待値と分散の基本概念

期待値(expected value)と分散(variance)は、統計学の基礎的な概念です。これらの概念を理解することは、統計学の学習において非常に重要です。

1.1 期待値とは

期待値は、確率変数の平均的な値を表します。他の言葉でも平均と呼ばれることもあります。例えば、サイコロを1回投げた場合、出る目を確率変数Xとすると、期待値E(X)は1×1/6 + 2×1/6 + … + 6×1/6 = 3.5となります。期待値は、確率変数のすべての値とその確率の積を合計した値です。

1.2 分散とは

分散は、データのばらつきの大きさを示す指標です。具体的には、確率変数の値と期待値の差の二乗の平均として定義されます。例えば、サイコロを1回投げた場合の出る目の分散をV(X)とすると、V(X) = ((1-3.5)^2 + (2-3.5)^2 + … + (6-3.5)^2)/6 ≈ 2.92となります。

1.3 期待値と分散の重要性

期待値と分散は、データの特徴を理解する上で重要な情報を提供します。期待値はデータの中心を表し、分散はデータのばらつきの大きさを示します。これらの概念を正しく理解することにより、統計学の基礎を固めることができます。次の節では、確率変数の分散や分散の性質について詳しく学んでいきましょう。

2. 確率変数の分散とその性質

確率変数の分散は、その確率変数の値のばらつき具合を示す指標です。ここでは、確率変数の分散に関する性質を解説します。

2.1 独立な確率変数の和の分散

独立な確率変数の場合、それぞれの確率変数の分散の和は、確率変数の和の分散に等しくなります。たとえば、異なるサイコロAとBを投げて両方の出目を足す場合、その分散はサイコロAの分散とサイコロBの分散の和となります。

2.2 確率変数に定数を足した場合の分散

確率変数に定数を足すと、分散は元の確率変数の分散と等しくなります。たとえば、サイコロを投げて出た目に3を足す場合、その分散は元の確率変数の分散と同じ値になります。

2.3 確率変数を定数倍した場合の分散

確率変数を定数倍すると、分散は元の確率変数の分散を定数の2乗倍したものになります。たとえば、サイコロを投げて出た目を4倍する場合、その分散は元の確率変数の分散に4の2乗を掛けた値になります。

2.4 確率変数の分散と標準偏差

確率変数の分散と標準偏差は密接な関係があります。分散は値のばらつきの大きさを示す指標ですが、直感的に理解しづらい場合もあります。そこで、分散の平方根である標準偏差を用いることで、ばらつきの具体的な大きさを理解することができます。

以上が確率変数の分散の性質についての説明です。次のセクションでは、具体的な分散の求め方とその例について解説します。

3. 分散の求め方と具体例

分散を求める方法には、いくつかの式や公式があります。ここでは、分散の求め方について具体的な例を交えて説明します。

3.1 分散の定義式を使う方法

まず最初に紹介されたのは、分散の定義式を用いる方法です。分散の定義式は次のようになります。

$$
V(X) = E[(X – \mu)^2]
$$

ここで、$X$は確率変数、$\mu$は$X$の期待値です。

例えば、サイコロの出目を表す確率変数$X$の分散を求める場合は、以下のようになります。

$$
V(X) = E[(X – \mu)^2] = \sum_{i=1}^{6} \frac{(x_i – \mu)^2}{6}
$$

このように分散を求める場合、数式の計算が少し煩雑になることがありますが、分散の定義から直接求めることができます。

3.2 分散の計算公式を使う方法

分散を求める別の方法として、分散の計算公式を使う方法があります。この方法では、期待値と確率分布を利用して分散を求めます。

例えば、次の確率分布を持つデータから分散を求める場合を考えてみましょう。

確率分布表 営業部 月収
部長 150万円
課長 80万円
Aさん 35万円
Bさん 35万円
Cさん 30万円
Dさん 30万円

このデータからの分散を求める場合、以下のような計算式を用います。

$$
V(X) = \sum_{i=1}^{n} (x_i – \mu)^2 \cdot P(X=x_i)
$$

ここで、$x_i$は各データの値、$P(X=x_i)$はそのデータが出現する確率、$\mu$は平均値です。

具体的に計算すると、

$$
V(X) = (150 – 60)^2 \cdot \frac{1}{6} + (80 – 60)^2 \cdot \frac{1}{6} + (35 – 60)^2 \cdot \frac{1}{6} + (35 – 60)^2 \cdot \frac{1}{6} + (30 – 60)^2 \cdot \frac{1}{6} + (30 – 60)^2 \cdot \frac{1}{6}
$$

となります。これを計算すれば、データからの分散を求めることができます。

3.3 使い分けのポイント

分散を求める際には、分散の定義式を用いる方法と分散の計算公式を用いる方法があります。

分散の定義式は分散を直接定義した式であり、数式の計算が煩雑になることがあります。一方、分散の計算公式は期待値と確率分布を利用して分散を求める方法であり、計算が簡単になることがあります。

使い分ける際のポイントとしては、問題に応じて計算しやすい方の式を選ぶことです。例えば、分散の定義式で計算するのが煩雑な場合は、分散の計算公式を利用することで計算を簡略化することができます。

また、分散を求める際には、データのばらつき具合を表す指標として考えることが重要です。平均だけでなく、値のばらつき具合を表す分散も重要な意味を持ちます。

以上が分散の求め方と具体例についての説明です。分散を求める際には、問題に応じて適切な方法を選び、計算を行うことが大切です。

4. 分散の加法性と独立性

分散の加法性と独立性は、確率変数の和の分散に関連しています。独立な確率変数の分散の性質や、新しい確率変数の分散を求めるための公式について説明します。

4.1 分散の加法性

独立な確率変数XとYの分散を求めるための公式は次の式です:

[ V(X + Y) = V(X) + V(Y) ]

この式は、独立な確率変数の和の分散は、それぞれの確率変数の分散の和に等しいことを表しています。例えば、異なるサイコロAとBを投げて出た目を足す場合、分散はサイコロAの分散とサイコロBの分散の和になります。

4.2 独立性と分散

独立な確率変数XとYの分散には次の公式も関係しています:

[ V(aX + bY) = a^2V(X) + b^2V(Y) ]

この式は、確率変数XとYが独立である場合に成り立ちます。確率変数XとYの独立性は、共分散が0であることを意味します。この公式から、新しい確率変数の分散を求める際に、元の確率変数の分散に係数の二乗を乗じることができることが分かります。

まとめ:
– 独立な確率変数XとYの分散は、それぞれの確率変数の分散の和に等しい。
– 確率変数XとYが独立である場合、新しい確率変数の分散は、元の確率変数の分散に係数の二乗を乗じることができる。

次の節では、一様分布における期待値と分散について解説します。

5. 一様分布における期待値と分散

一様分布は、確率変数が取りうる値の範囲内で一様に分布する特徴を持っています。ここでは、一様分布における期待値と分散について説明します。

一様分布の期待値(平均)

一様分布における期待値は、確率変数が取りうる値の平均値です。例えば、サイコロの目のように取りうる値が離散的な場合、期待値は各値にその出現確率を乗じて総和を取ることで求められます。具体例として、サイコロの場合、1から6までの目が等確率で出ると考えると、期待値は以下のように計算されます:

期待値(平均) = 1 x (1/6) + 2 x (1/6) + … + 6 x (1/6) = 3.5

一様分布の期待値は、確率変数が取りうる値の総和を各値の出現確率で重み付けした値となります。

一様分布の分散

一様分布の分散は、確率変数の値が期待値からどれだけばらついているかを表す指標です。離散的な一様分布の場合、分散は以下のように求められます:

分散 = Σ(各値 – 期待値)^2 x (各値の出現確率)

連続的な一様分布の場合も同様に、確率変数の値が期待値からどれだけばらついているかを表す指標となります。

一様分布の期待値と分散は、確率変数が取りうる値の均等な分布を反映しています。期待値が値の中央にあるため、一様分布では平均値が代表的な値となります。また、分散が低いほど確率変数の値が期待値からあまりばらつかず、一様性が高いことを示しています。

一様分布の期待値と分散は、その特徴から比較的簡単に求めることができます。より具体的な計算方法や証明については、参考文献をご覧ください。

(参考文献:
– 一様分布の期待値と分散の求め方・証明 (https://statistics-study.com/uniform-distribution-expected-value-variance/)
– 一様分布の期待値と分散について (https://kinzoku-data.com/uniform_distribution_variance/) )

まとめ

期待値と分散はデータの特徴を捉える重要な概念です。期待値は平均を表し、分散はデータのばらつきを示します。これらの性質を理解することで、統計学の基礎が固まります。分散の計算方法は定義式や計算公式があり、状況に応じて適切な方法を選んで使い分けます。また、独立な確率変数の和や定数倍の分散についても理解を深めることが重要です。一様分布における期待値と分散の計算方法も学習しました。期待値と分散は統計学の基本中の基本であり、これらの概念を習得することで、様々な確率・統計の問題を解決する力が身につきます。

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この記事を書いた人

 大学卒業後、デジタルマーケティング企業に入社し、BtoBマーケティングのコンサルに従事。200社以上のコンサルティング経験に加え、ウェビナー・ワークショップ・Academyサイトの立ち上げに携わり、年間40件のイベント登壇と70件の学習コンテンツ制作を担当。
 その後、起業を志す中で、施策先行型のサービス展開ではなく企業の本質的な体質改善を促せる事業を展開できるよう、AI/DX分野において実績のあるAIソリューション企業へ転職。
 現在はAIソリューション企業に所属しながら、個人としてもAI×マーケティング分野で”未経験でもわかりやすく”をコンセプトに情報発信活動やカジュアル相談を実施中。

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