【完全ガイド】Pythonで始める探索的データ解析(EDA):データサイエンスの基礎から実践まで

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データサイエンスの重要なプロセスである探索的データ解析(EDA)について解説するブログです。EDAの目的や意義、手順について詳しく説明し、PythonのPandasライブラリを使ってEDAを実践する方法を紹介しています。データの基礎統計量の確認や可視化、欠損値処理など、EDAに必要な基本的な手法を実例とともに分かりやすく解説しています。データ分析の入門者から実務者まで、EDAの重要性を理解し、実践的なスキルを身につけることができる内容となっています。

目次

1. 探索的データ解析(EDA)とは – データサイエンスの重要ステップ

探索的データ解析(Exploratory Data Analysis, EDA)は、データサイエンスプロジェクトにおいて、そのデータの特性を深く理解するための重要なステップです。EDAは、単にデータを扱うだけでなく、データが持つ意味やパターンを見出すことを目的としています。以下では、EDAの意義や目的について詳しく説明します。

EDAの目的

EDAの主な目的は、データを詳しく探求し、潜在的な構造や関係性を見つけ出すことです。これにより、次のような知見を得ることができます。

  • データの全体像を把握する
    データセットのサイズや変数の数、データ型の確認を行います。これにより、データの概要を理解することができます。

  • 変数間の関連性を探る
    変数同士の相関関係や因果関係を調査し、どの変数が予測に寄与するかを明らかにします。

  • 異常値や欠損値の特定
    データの中に存在する異常値や欠損値を発見し、分析に影響を与える可能性のある要因を洗い出します。

EDAのプロセス

EDAは一般に次のようなステップに分けられます。

  1. データの収集
    データがどのようにして得られたのかを理解し、信頼性を確認します。

  2. データのクレンジング
    不適切なデータや異常値を取り除き、分析に適した形に整えます。

  3. 基本的な統計量の算出
    平均、中央値、標準偏差などの指標を求め、データの分布を把握します。

  4. 可視化
    グラフやチャートを用いてデータを視覚化し、直感的に理解しやすくします。この段階では、データのパターンやトレンドを発見することが重視されます。

データ理解の重要性

EDAでは、データに対する深い理解が不可欠です。単にモデルを構築する前にデータを知ることで、以下のような利点があります。

  • 適切なモデル選定
    データの特性を理解することで、どのモデリング手法が最適か判断する手助けになります。

  • 仮説の生成
    データから観察したパターンに基づいた新たな仮説を立てることが可能になります。

  • 結果の解釈
    分析結果を理解し、ビジネスや研究への応用に繋げるために、データに対する深い認識が求められます。

結論的な意義

EDAはただの準備段階に留まらず、データサイエンスにおける重要な活動の一つとして位置づけられています。データを深く知り、洞察を得るためのプロセスとして、EDAは常にデータサイエンティストの活動の根底にあります。このステップをしっかりと踏んでいることで、より効果的なモデル構築や分析結果の解釈が可能になるのです。

2. PythonのPandasライブラリを使ったEDAの基本

探索的データ分析(EDA)は、データの特性を理解し、洞察を得るために必要不可欠な手法です。そして、PythonのPandasライブラリは、EDAを行う上で非常に強力なツールとなります。ここでは、Pandasを使った基本的な操作や手順について詳しく解説します。

Pandasのインストールと導入

Pandasを使用するには、まずこのライブラリをインストールする必要があります。以下のコマンドを使うことでスムーズにインストールできます。

bash
pip install pandas

インストールが完了したら、次のようにしてPandasをインポートし、使用する準備を整えましょう。

python
import pandas as pd

データフレームの作成

Pandasを利用すると、「データフレーム」という二次元のデータ構造を簡単に扱うことができます。例えば、以下のコードで簡易的なデータフレームを作成することが可能です。

python
data = {
'名前': ['田中', '鈴木', '佐藤'],
'年齢': [23, 30, 22],
'職業': ['エンジニア', 'デザイナー', 'マーケター']
}
df = pd.DataFrame(data)

CSVファイルからのデータ読み込み

実際のデータ分析においては、外部のCSVファイルからデータを読み込むケースが多いです。Pandasを使うと、非常にシンプルなコードでCSVファイルを読み取ることができます。

python
df = pd.read_csv('data.csv')

データの基礎情報の確認

データフレームを生成した後は、データの基本情報を把握することが重要です。head()メソッドを用いれば、データフレームの先頭数行を表示することができます。

python
print(df.head())

さらに、describe()メソッドを使用することにより、数値データの要約統計量を取得することが可能です。

python
print(df.describe())

データ型の確認

データの型を把握することは、分析を行う上で非常に重要です。dtypes属性を使うと、各列のデータ型を容易に確認できます。

python
print(df.dtypes)

欠損値の検出

データを扱う際には、欠損値の有無を確認することが不可欠です。isnull()メソッドを利用することで、欠損値の数を簡単に把握できます。

python
print(df.isnull().sum())

基本的な相関分析

相関関係を解析することは、EDAの重要な部分です。corr()メソッドを使用すれば、特定の列間の相関を簡単に分析できます。

python
correlation = df['年齢'].corr(df['収入'])
print(correlation)

データの視覚化

視覚化を通して、データの理解を深めることができます。PandasはMatplotlibと連携することで、グラフを簡単に作成可能です。例えば、年齢のヒストグラムを描画するためには、以下のようにします。

“`python
import matplotlib.pyplot as plt

plt.hist(df[‘年齢’], bins=10)
plt.title(‘年齢のヒストグラム’)
plt.xlabel(‘年齢’)
plt.ylabel(‘頻度’)
plt.show()
“`

このようにして、年齢の分布を視覚的に把握することができます。PandasとMatplotlibを組み合わせることで、より効果的にデータを探索することができるのです。Pandasは、探索的データ分析を行う際に非常に便利なツールとして、多くの分析者から支持されています。

3. データの読み込みと概要把握

データ分析を始める上で、最初のステップはデータの正確な読み込みと、その概要を把握することです。ここでは、PythonのPandasライブラリを使用して、データを読み込む方法と基本的な情報を抽出する技術について説明します。

3.1 データの読み込み

Pandasは、データ解析に非常に役立つPythonのライブラリです。CSVファイルなどのデータソースからデータを簡単に読み込むことができます。以下に基本的な読み込み方法を示します。

“`python
import pandas as pd

CSVファイルの読み込み

df = pd.read_csv(‘your_data_file.csv’)
“`

3.2 データの概要確認

データを読み込んだ後は、まずそのデータの構造を把握することが重要です。head()メソッドを使うと、データフレームの最初の数行を確認できます。

python
print(df.head())

これにより、各カラムのデータタイプや一部の値を簡単に確認することができ、データの理解を深める第一歩となります。

3.3 データの基本情報を取得

次に、info()メソッドを使用して、データの概要を把握することができます。このメソッドは、データのインデックスの情報、カラムの数、各カラムのデータ型、非欠損値の数などを表示します。

python
print(df.info())

3.4 統計的要約の確認

さらに、データの数値的な特徴を把握するためには、describe()メソッドを活用します。このメソッドは数値カラムに対して、有効データ数、平均、標準偏差、最小値、四分位数、最大値などの統計情報を提供します。

python
print(df.describe())

これにより、データの分布に関する基本的な理解が得られ、特に異常値や偏りの有無を評価することが可能です。

3.5 ユーザー定義の要約

場合によっては、特定のカラムに対してユーザー定義の要約を行いたいこともあります。たとえば、カテゴリ変数のユニークな値の数を確認することは、データの分布を把握する上で役立ちます。

python
unique_categories = df['category'].unique()
print(f'ユニークなカテゴリの数: {len(unique_categories)}')

これらの手順を経て、データの詳細を掴むことができ、その後の分析に向けた準備が整います。データを理解することは、無駄なリソースを使うことなく、効率的に次のステップへ進むための基盤となるのです。

4. データの可視化とパターン発見

データの可視化は、探索的データ分析において不可欠なステップであり、データ内のパターンや関係性を識別するための強力な手段です。このセクションでは、具体的な手法やツールを用いたデータの可視化方法について考察します。

4.1 グラフの種類

可視化においては、目的や対象のデータによってさまざまなグラフを使い分ける必要があります。以下は一般的に用いられるグラフの種類です。

  • ヒストグラム
    データの分布を視覚化するのに適しており、頻度分布を簡単に把握できます。例えば、売上データのヒストグラムを作成することで、どの価格帯が最も売れているかを見極めることができます。

  • ボックスプロット(箱ひげ図)
    データの中央値や四分位数、外れ値を示し、異常値の特定に役立ちます。特に複数のカテゴリを比較する際に有効です。

  • 散布図
    2つの変数間の関連性を視覚化するために用いられます。例えば、広告費と売上の散布図を作成すると、広告投資の効果を視覚的に理解できます。

4.2 多次元の可視化

単純な二次元の可視化にとどまらず、多変数のデータを可視化することでさらに深い洞察が得られます。

  • ヒートマップ
    大量のデータを視覚的に表現する強力な方法です。相関行列を可視化する際によく使用され、各変数間の関係性を色の濃淡で表現します。これにより、相関の強い変数や低い変数を一目で把握できます。

  • パラレルプロット
    複数の変数を持つデータを視覚化する方法で、各変数の値を平行な線として表現します。データがどのように変化するか、またはどの特徴が他の特徴とどのように関連しているかを示します。

4.3 可視化ツール

データ可視化にはさまざまなツールが存在します。以下は、特に人気のあるものです。

  • Matplotlib
    Pythonで使用される主要な可視化ライブラリで、基本的なグラフから複雑なビジュアルまで、幅広い用途に対応します。

  • Seaborn
    Matplotlibを基にした高水準なライブラリで、美しい統計グラフを簡単に描画できます。特にデータセットの探索や分析に役立ちます。

  • Tableau
    ビジュアル分析に特化したツールで、インタラクティブなダッシュボードを作成するのに適しています。コーディングなしでデータの可視化ができるのが大きな特徴です。

4.4 パターン発見

データを可視化することにより、人間の目では見えにくいパターンや異常を見つけることができます。例えば、売上や顧客の行動パターンをグラフで表現することで、季節性やトレンドを捉えることが可能です。また、異常値や外れ値の識別も視覚化を通じて行うことができ、これによりデータ分析やモデリングにおいてより正確な意思決定が可能となります。

データの可視化は、単に情報を伝えるための手段だけでなく、洞察を得るための重要なプロセスであると言えるでしょう。さまざまな手法やツールを駆使して、データの本質を理解し、それに基づいた意思決定を行いましょう。

5. 欠損値と外れ値の処理

データ分析を行う上で、欠損値外れ値は避けては通れない重要な課題です。これらの問題が適切に扱われない場合、分析結果やモデルの精度に悪影響を及ぼす可能性があります。このセクションでは、それぞれの問題に対する基本的なアプローチを解説します。

欠損値の処理

データセットに欠損値が含まれることは一般的であり、このような値はデータ収集の過程で発生することが主な原因です。欠損値への対応にはいくつかの方法があります。

1. 欠損行の削除

最も単純で直感的な方法は、欠損値を含む行を削除することです。これは特に欠損数が少ない場合に有効ですが、大量のデータが削除されると、結果に大きな影響を与えることがあります。

2. 欠損値の代入

欠損値が含まれる行を削除する代わりに、平均値中央値などの代表値で埋めることも一般的な手法です。この方法を利用することで、データの一貫性を保ちながら、情報を活用できます。

  • 平均値での代入: 連続変数に対し、全体の平均を欠損値に代入します。
  • 中央値での代入: 外れ値の影響を受けにくい中央値での代入は、特に偏ったデータに有効です。

3. 認識モデルを利用した代入

回帰分析や機械学習アルゴリズムを使用して、他の特徴量から欠損値を予測する方法もあります。この手法は欠損のパターンに基づいてより正確な埋め合わせを行える可能性があります。

外れ値の処理

外れ値とは、他のデータと大きく異なる値を指します。これらは誤ったデータ入力や、観測の異常によって発生することがしばしばです。外れ値を適切に処理しないと、分析結果やモデルの性能に悪影響を及ぼすことがあります。

1. 外れ値の検出

外れ値を検出するために、以下の方法を用いることができます。

  • 四分位範囲(IQR): 四分位数を利用して、上限と下限を設定し、それを超える値を外れ値として識別します。
  • Zスコア: 各データが平均からどれだけ離れているのかを計算し、一定の範囲を超えるものを外れ値と見なします。

2. 外れ値の除去

検出した外れ値をデータセットから除去することができます。ただし、外れ値が本当に無意味であるか見極めるために、その背景や原因を調査することが重要です。

3. 外れ値の代替

外れ値を単に除去するのではなく、代表的な値(例: 平均値や中央値)で置き換えることも考慮されます。これにより、データセットの統計的特性を保ちつつ、外れ値の影響を削減することが可能です。

4. モデルの選定

外れ値に対して頑健なモデルを選ぶことで、分析や予測の精度を保つ手法もあります。例えば、決定木やロバスト回帰といった外れ値に敏感でない手法を利用することが効果的です。

このように、欠損値と外れ値への適切な対応は、データ分析において非常に重要であり、それぞれのデータセットに応じた適切な方法を選ぶことが求められます。

まとめ

探索的データ分析(EDA)は、データサイエンスにおける重要な第一ステップです。Pandasライブラリを使えば、データの読み込みから可視化、さらに欠損値や外れ値の処理まで、EDAの基本的な手順を効率的に実行できます。データの特性を十分に理解し、洞察を得ることは、より適切なモデル選定や分析結果の解釈につながります。EDAの実践は、データサイエンスプロジェクトの土台を築く上で不可欠な活動なのです。

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この記事を書いた人

 大学卒業後、デジタルマーケティング企業に入社し、BtoBマーケティングのコンサルに従事。200社以上のコンサルティング経験に加え、ウェビナー・ワークショップ・Academyサイトの立ち上げに携わり、年間40件のイベント登壇と70件の学習コンテンツ制作を担当。
 その後、起業を志す中で、施策先行型のサービス展開ではなく企業の本質的な体質改善を促せる事業を展開できるよう、AI/DX分野において実績のあるAIソリューション企業へ転職。
 現在はAIソリューション企業に所属しながら、個人としてもAI×マーケティング分野で”未経験でもわかりやすく”をコンセプトに情報発信活動やカジュアル相談を実施中。

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